住友商事を1か月で辞めた話(前編) 

会社行きたくない人

今は不思議な縁にめぐまれてネットショップを一人で運営している私ですが、この仕事に就くまでは色々な仕事を経験してきました。

そもそもまさかいつか自分が会社を辞めて自営業になろうとは思ってもいなかったので、できるだけいい会社に入ってできるだけ長く働くことしか考えていなかったのです。

今日は私が初めて就職した会社、住友商事を一か月で辞めた話について書きたいと思います。

 

 

運良くつかんだ「紹介予定派遣」

それはまだ私が大学を出て半年くらいのころ。今から数えると10年以上前のことです。

就職活動と言えるほどの活動もできず、結局勤める会社が見つからなかった私はアルバイトで生計を立てていました。

ですがそんなとき、こんな自分でも何か仕事がもらえるかな、と思って派遣会社に登録したところ、
こんな仕事がありますよ、と紹介されたのがその「住友商事」の事務員のお仕事だったのです。

しかもそれは派遣社員としてスタートはするものの、半年後には正社員として契約を切り替えることを前提とした「紹介予定派遣」というものでした。
自分には願ってもない良い話です。

面接8人のうち合格者2名ということで、いちかばちかの面接でしたが、結果的に自分がその2名の中に入ることができました。

 

この話は正確に言うと、雇用主は住友商事の子会社でした。
というのも人手が必要なのは親会社である住友商事ではあるものの、そこで人を雇うことができなかったため、子会社で雇って勤務先は親会社になるといういわば「出向」という形だったのです。

ですがとにもかくにも私にとってはあのような大きな自社ビルに入り、バリバリと仕事をするたくさんの先輩たちと仕事ができることはそれだけでも名誉なことでした。

 

いよいよ入社

勤務することになった部署は、男性と女性が合わせて10数名ほど。
と言っても男性はほとんど外出していたので、実質オフィスを仕切っているのは女性という印象でした。
そしてそこに、私と、私より2つ年上の女性が紹介予定派遣の社員として加わりました。

毎日の仕事は部署のみんなが使う一台のパソコン(確か共有と呼ばれていました)を起動させるところから始まります。
ですがこのパソコンがなんといっても、すさまじく古い!
なのでマニュアル通りにやってもご機嫌1つで起動しないことが多々あるのです。
忙しそうな先輩に声をかけるのは気が引けましたが、自分ではにっちもさっちもいかないので、誰かに頼るしかありませんでした。
このとき助けてもらうのはいつも先輩派遣社員のTさん(女性)でしたが、あきらかに面倒くさそうな顔をしていました。

そして私に仕事を教える担当として、正社員の先輩Mさん(女性)が私についてくれました。
Mさんは私より一回りほど年上で、バリバリ仕事をしているかっこいい女性でした。
ですが何せいつも自分の仕事だけでも相当忙しそうにしていて、自分の仕事を途中で無理に切って作った時間で私に指導してくれていたようでした。

 

入社したばかりの私たちには「自分の仕事」だけでなく、部署の「新人」としての仕事も用意されていました。
それは部署に届いた郵便物を分けて皆の席に配ることです。
この仕事については「この取引先の場合はこの人へ配る」というリストが手渡されていたのですが、1人に対して10も20も取引先があったり、このリストに書かれていない取引先がしょっちゅう出てきたりして、全く効率よく進みませんでした。

このとき誰に尋ねてもほとんどみなイライラしていたので、できるだけ優しく答えてくれる先輩を探すのに必死。
そしてこれに手を取られているうちにまた自分の仕事も遅れてしまうので、自分自身手一杯になってしまい、頭にもあれこれ詰め込みすぎてよくわからなくなるのです。
しばらくするとそんな悪循環を感じ始めましたが、私にとってはこれが「初めて」経験する社会人としての仕事だったため、初めはこんなものなのかなと自分を納得させただひたすら少しでもたくさんのことを覚えられるよう頑張りました。

 

お昼の時間は部署の女性が全員集まって食堂に行くという文化(?)があるようでした。
私たちもそれに従いいつも先輩たちについて食堂に行きましたが、中には10才以上年上の人もいたので、下手な発言はしないよう極力大人しくしていたつもりです。
すると先輩たちも、はじめは1つ2つ愛想で質問してくれはしましたが、特別何か共通点があるわけでもなく盛り上がりもなかったので、すぐに会話はなくなってしまいました。

毎日先輩たちが楽しそうにしゃべっているので、そのそばで一生懸命うなずきながら自分は食事をするだけ。
馴染めない雰囲気を肌で感じながらも、
「いますぐには輪の中に入っていけないけれど、時間と共に仲良くなっていければいいなあ・・・。」と、そのときはそんな風に考えていました。

 

歓迎されない歓迎会

数日たって、私たち2人の歓迎会が開かれました。
仕事の後に予約した居酒屋にタクシーで行くので、仕事後待っておけとのこと。
先輩たちは仕事が多く終わるのが遅かったので、早くに終わった私は待っていました。

するとしばらくしてみんなぞろぞろと出てきました。

「あ!」

私は急いでそのあとを追いかけたのです。

 

先輩の女性陣が固まって歩いているその中にはとても入れなかったので、そのすぐ後ろを追うように私もついていきました。

すると角を曲がったときに前にいた先輩たちがタクシーに乗り込む姿が見えました。

「あっ・・・」

 

気がつくとその場に1人取り残されていました。

私の後を男性軍(部長たち)が歩いていたので、仕方なくそちらに合流して一緒に乗せてもらいました。
歓迎されていないことをうすうす感じてはいましたが、このときはっきりそれを感じました。

 

仕事の重圧と先輩の苛立ち

歓迎会の次の日から、またいつもの毎日が始まりました。
仕事はいつもとても忙しく、当時パソコンの操作さえままならなかった私にとっては本当についていけないほど難しいものでした。

「説明は基本的に一回しかしないからね」と先輩に言われていたので、忘れてしまわないように作業のたびにノートに書きこむようにしていましたが、
次の日になるとまた違う作業。その次の日になるとまた違う作業。

同じ作業が全く出てこないのです。
というのも、後から知ったのですが仕事のサイクルは「1か月周期」。

仕事によっては毎日同じ仕事をしているという人もいれば、1週間ごとに変わるという人もいるでしょうが、私がやらねばいけない仕事は「1か月周期」でした。
つまり同じ仕事をするのは1か月後の同じ日ということになります。
今やった仕事を1か月後には自分1人でなんてできるだろうか・・・。

注文書、注文請書、請求書、見積書、為替・・など、今まで目にしたことのない書類が毎日目の前を飛び交い、そのたびにまた慣れない処理をしたり別の部署に行って書類作成の依頼をしたり、その手順や場所を覚えるだけでももはや頭はパンク状態でした。

 

また、私たち新人2人は毎日1枚の白紙リストを手渡されていました。
これは5分ごとに区切られています。
何に使うかと言うと、自分のやった仕事を5分刻みに全て書き込むのです。

忘れてしまわないように、仕事と並行して書き込むようにしましたが、それでも何をやったかわからない5分と言うのが度々発生してしまい、その空欄を埋めるのに必死になりました。
ときにはトイレの時間さえ惜しんで、焦って出てくることもありました。
ですが仕事も手一杯。このリストにも手一杯。
とにかく目の前の作業をこなすことに精一杯で、毎日なにかを「習得」している実感はありませんでした。

 

入社したばかり頃の嬉しかった気持ちはどこへやら。
一週間も経てば、すぐにどんよりした暗い気持ちになってしまいました。

必死で理解しよう覚えようと毎日努力していましたが、焦っても焦ってもやはり仕事には全く頭が追いつきません。

その様子を見ては先輩たちも苛立ち、あきらかに不機嫌な表情を浮かべるようになりました。
お昼の時間も周りに溶け込むどころか自分だけが浮いてしまい、ますますその場に居づらくなるばかりでした。

 

私を救ってくれた同期

そんなとき一つだけ心の救いになってくれたのは、一緒の時期に入社した2つ年上の女性の存在・・・Fさんです。

彼女とは別々に仕事をしていてなかなか接点が持てなかったのですが、あるとき2人で一緒に作業をする機会があり、そのときにメアドを交換することができました。

「あの先輩たちはね!婚期逃して若い私たちに八つ当たりしてるだけだから!!」

彼女はズバズバものを言う人でした。もちろん私にだけですが。(笑)

でもそうやって言ってくれることが、私のつらい気持ちを少し和らげてくれました。
そして彼女も私と同様、仕事についていけていないと明かしてくれました。

 

そんな風に少しずつ仲良くなった私たちが一度だけ、お昼ご飯の時間に外出したことがありました。
もちろん先輩には一言その旨を伝えて、です。
Fさんと2人で会社の外に出たときは、とても開放感がありました。

 

「そういえば先輩たちが、XXさん(私)の大学名出して何か話してたわ。何かはわからんけど、いい大学だからウワサされてたんかもね~」

彼女は言いました。

それを聞いた私はドキッ!
なぜなら普通であれば、私がどの大学を出たかということまでは知っているはずがないからです。

 

彼女は続けて言いました。

「Tさんはね、派遣社員やってるけど、もうすぐ退社やねん。でも私たちとは契約が違うから、正社員にはなれないみたい。」

 

なぜ彼女がここまで事情通だったのかは知りませんが、自分が所属している派遣会社から少し情報を得ていたのかもしれません。
それにしてもTさんがただの「派遣社員」として終わるだなんて・・・。

私から見れば、Tさんはとてもバリバリ仕事をしている先輩でした。
それに、会社自体にもなじんでいるように見えました。
なのに派遣期間終了を以って退社だなんて。そして次に入ってきた何にも仕事のできないまっさらな私たちが「正社員」になるだなんて。

そんなの・・・

そんなの・・・

 

嫌われるに決まってる

 

 

初めてのリフレッシュ(Fさんとの外食)を終えて会社に戻ると、私たちは女性陣に叱られました。
食事の時間はみんな一緒にって決まってるから、と。

何かよくわからない規則ではありましたが、私たちが謝ってその場を収めました。

とにもかくにも、年上の女性って・・・こわい。

 

長くなるので続きは後編で。







シェアして頂けると飛び上がって喜びます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です