私がネットショップを始めたころ、ちょうど知り合いの雑貨屋さんもネットショップを始めたということで、話をする機会がありました。
その雑貨屋の店長さんは言いました。
「代金引換は受け取り拒否のこととか考えるとリスクが高いし、導入しないんですよね~」と。
それを聞いた私はドキッとして、
「そうなんですね。やっぱり拒否とかあるのかな。私もやめておいたほうがいいのかな。」
と答えたのを覚えています。
それでは実際、代金引換の受け取り拒否の確率はどのくらいなのでしょうか。
そして万一拒否されてしまったら、キャンセル料などの費用請求はできるものなのでしょうか。
代金引換をお店に導入しようかどうか悩んでいる方はぜひご覧下さい。
目次
代金引換の基礎知識
まずは基本をおさらいしておきましょう。
代金引換とは
代金引換とは一言でいうとお届け時現金払いのことです。
運送会社がお客さんに荷物(商品)を届ける際に、荷物と引き換えに商品代金を回収してくれる方法です。
代金引換にかかる手数料(日本郵便のまとめ送金の場合)
運送会社によって多少異なりますが、今回は一例として
【日本郵便】の代金引換まとめ送金の場合をご紹介します。
※まとめ送金とは・・・回収したお金を週ごとや月ごとにまとめて振り込んでくれるサービス。代金引換の利用回数が多い人向け。
代引手数料
代金引換の荷物を発送する度にかかる料金です。
- 引換金額30,000円まで・・・・代引手数料324円
- 引換金額100,000円まで・・・・代引手数料540円
(それ以上の引換金額の場合はこちらを参照)
送金手数料
日本郵便が回収したお金を自分の口座に振り込んでもらう際にかかる料金です。
- ゆうちょ銀行宛て・・・一律130円
- それ以外の金融機関宛て・・・振込金額が30,000円未満の場合 216円、30,000円以上の場合 432円
手数料は誰が負担するの?
送金手数料はともかく、代引手数料は取引の度にかかりますから積み重なるとなかなかの金額になります。
ですので代金引換を希望したお客さんに負担してもらうのが一般的です。
つまり、お客さんが支払う代金引換の合計金額を商品代金+代引手数料に設定します。
(もちろんショップ側が負担しても全く問題はありません。)
受け取られないとどうなる?
上記で説明しましたように、代金引換は商品を受け取ってもらって初めて「商品代金・送料・代引手数料」が回収できるシステムです。
ということはつまりお客さんが受け取りを拒否したり、長期不在などで受け取りができなければ荷物があなたの元に返送され、(片道)送料と代引手数料があなたの支払いになってしまいます。
え!?結局代金引換は成立していないのに!!
と思う方もあるかもしれませんが、そんなことは運送会社にとっては「知らんこっちゃない」です。
ゴネたところで代引手数料も返してはもらえません。
さらに商品については一応まるごと返っては来るものの、その商品を発送する際にかかった手間や梱包費などを考えるとその損害はバカにできないものです。
冒頭の話の雑貨屋さんがリスクがあると言ったのはこの部分ですね。
※運送会社によっては返送時の送料も請求される場合があります。
受け取られず返送された場合、送料・手数料は請求できるのか
荷物が受け取られなかったことによってあなたが支払うことになってしまった送料や代引手数料、
そしてキャンセル処理のために生じた諸々の手数料はお客さんに請求できるのでしょうか。
その答えは「YES」でもあり「NO」でもあります。
は? 結局どっち?
と思われるかもしれませんが、そのどちらも正解なのです。
ネットショップの規約はショップ内に設けた「特定商取引法に基づく表示」というページに記載することになっていますので、そこにあなたがショップの決まり事として、
「万一、代金引換のお荷物が受け取られず返送になった場合には往復送料及び手数料〇〇円を申し受けます。」
とあらかじめ記載していればその金額を請求することができます。
請求はメールでも良いですしもちろん電話や書面でもOK。
ということで請求できるか否か、の答えは「YES 」ですね。
ではなぜ「YES」である一方「NO」なのかと言うと、受け取りを拒否するような人が後日請求された手数料を素直に支払うとは思い難いからです。
もちろん絶対に払う人はいないとまでは言い切れませんが、払ってもらえる確率の極めて低い請求書作りに多くの労力を払ってはますます損害が大きくなります。
本当に残念なことではありますが、受け取られず返送されてしまった荷物に対しては黙って受け入れ、かかったコストは必要経費とみなすしかありません。
お客さんにとってのメリットとは
さてここまでは残念な話ばかりしてしまいましたが、一旦ここでお客さんの立場になって代金引換について考えてみましょう。
商品が確実に受け取ってもらえるまでリスクを抱えたあなたとは反対に、お客さんにとっては商品が確実に到着してから支払いができるというこの上なく安心な支払い方法です。
インターネットでの買い物に慣れた人ならともかく、初めてネットショップを利用するという人や、過去に悪いお店に当たって代金を先払いしたのに商品が送られてこなかった・・など嫌な経験をしている人であれば、代金引換を利用したいと思うでしょう。
またその他にも銀行振り込みができない、クレジットカードを持っていない、などの理由でのニーズも考えられます。
そういった理由で年配のお客さんには特に人気の高い決済方法なのです。
受取拒否率はどの程度か
それでは代金引換の受け取り拒否率(長期不在等で受け取られなかった場合も含む)はどの程度なのでしょうか。
残念ながらさすがにその数字の統計は発表されておりません。
ですが参考までに私のお店の受け取り拒否率を言いますと、おおよそ
120分の1
です。
どうですか。とっても少なくないですか?
ただしこれは「利用人数」で計算したわけではなく、「利用回数」で計算していますので、この中には何度も利用している優良なリピーターさんも含まれます。
もしあなたのお店がリピーターの少ないお店であれば上記の数字はあまり参考にならない可能性もあります。
ですがまだ一度も導入したことがないと言うのであれば、やってみる価値は十分にあるでしょう。
実際に試しもせず、リスクを心配して代金引換を敬遠していては、せっかくのお客さんを逃してしまいます。
まとめ
ネットショップをオープンし、顔も見えないお客さんと取引するということはとても不安なものです。
いたずら注文されたらどうしよう、気が変わって支払いしてくれなくなったらどうしよう、とあなたが心配になるのも当然です。
ですが初めて出会うあなたのネットショップでお買い物をするお客さんはもっと不安なのです。
このお店はちゃんと発送してくれるかな?お金を先払いして大丈夫だろうか・・・とあなたと同様、もしくはそれ以上の不安を抱えているのです。
ネットショップにおいてリスク回避は重要ですが、商売である以上全くリスクを背負わずにやるということはできません。
わずかなマイナスのリスクを避けるより、少しでも集客数を増やし、マイナス分を格段に上回る利益を獲得することを考えましょう。
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